その使い方、危険です!補助金申請でChatGPT・Claude・Geminiを安全に使うガイドライン

補助金申請でAI(ChatGPT・Claude・Gemini)の利用は情報漏洩が不安?この記事では、各ツールの危険な使い方と安全対策を徹底比較。機密情報を守り、AIを賢く活用するための実践的ガイドラインで、申請業務の効率化を支援。
その使い方、危険です!補助金申請でChatGPT・Claude・Geminiを安全に使うガイドライン

目次

こんにちは!補助金申請の書類作成に追われている皆さん、AIを使って効率化したいけれど、「機密情報が漏れたらどうしよう」と不安を感じていませんか?

実は私も最初は同じ悩みを抱えていました。決算書の数字や従業員の個人情報、独自の技術情報など、補助金申請書には企業の機密情報がたくさん含まれています。これらをAIに入力するのは、正直なところ、かなり勇気がいりますよね。

でも、安心してください。適切な知識と対策があれば、AIを安全に活用しながら、補助金申請の作業を大幅に効率化することができます。

今回は、ChatGPT、Claude、Geminiという3大AIサービスのセキュリティ機能を徹底的に比較し、あなたの大切な情報を守りながら賢くAIを活用する方法をお伝えします。

この記事でわかること

この記事は全文で約1.5万字です。部分的に読むこともできるよう、見出しごとに完結する構成になっています。

  • なぜ補助金申請でAI活用時のセキュリティが重要なのか
  • ChatGPT・Claude・Gemini各社のセキュリティ機能の違い
  • 機密情報を守りながらAIを活用する具体的方法
  • 補助金申請業務での安全なAI活用フレームワーク
  • 実際に使える安全なツールやサービス

特に、無料版のAIサービスを使っている方は要注意です。あなたの入力した情報が、知らないうちにAIの学習に使われている可能性があります。この記事を読んで、今すぐ対策を始めましょう!

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補助金申請でAIを使う際の情報漏洩リスク|絶対に知っておくべき10の落とし穴

補助金申請でAIを活用する際、多くの方が見落としがちなリスクがあります。私自身、これらのリスクを知らずにAIを使い始めて、ヒヤッとした経験が何度もあります。

ここでは、実際に起こりうる10個の情報漏洩リスクについて、具体例を交えながら解説します。これらを知っているだけで、大きなトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

無料版AIは既定でモデル学習に利用される危険性

最も重要な事実から始めましょう。ChatGPTの無料版とPlusプラン、そしてGeminiの無償版では、あなたが入力した内容が「デフォルトでAIモデルの学習に使用される」設定になっています[1]。

つまり、補助金申請書の下書きとして入力した財務情報や事業計画が、将来的に他のユーザーへの回答に反映される可能性があるということです。

たとえば、こんなケースを想像してみてください。

「弊社の2023年度売上高は3億2,000万円で、営業利益率は8.5%でした。主力製品の『高効率太陽光パネル』の製造原価は...」

このような具体的な数値を含む文章を無料版のAIに入力すると、その情報がAIの学習データとして保存される可能性があります。数か月後、競合他社が似たような質問をAIにした際に、あなたの企業情報の一部が回答に混入するリスクがゼロではありません。

対策としては、ChatGPTの場合、設定画面から「Data Controls」にアクセスし、「Improve the model for everyone」をオフにする必要があります。ただし、この設定により一部機能が制限される場合があります。

削除したつもりでも最大30日間サーバーに残存するリスク

「会話を削除したから大丈夫」と思っていませんか?実は、ChatGPTでは削除した会話も最大30日間はサーバーに保持されます[1]。

この期間中、不正使用や誤用の監視目的でデータが保管されているため、完全に消去されているわけではありません。もし、この期間中にセキュリティインシデントが発生した場合、削除したはずの機密情報が流出するリスクがあります。

特に注意が必要なのは、以下のようなケースです:

  • 申請締切直前に慌てて作成した書類の下書き
  • 修正前の古いバージョンの事業計画
  • 一時的にメモとして入力した取引先情報

これらの情報は、削除してもすぐには消えないことを覚えておきましょう。

個人情報保護法違反となる従業員情報の入力パターン

補助金申請では、人件費の計算や組織体制の説明で従業員情報を記載することがあります。しかし、以下のような情報をそのままAIに入力すると、個人情報保護法違反になる可能性があります:

絶対に入力してはいけない情報の例:

  • 「開発部の山田太郎(42歳)の月給は45万円で...」
  • 「弊社の従業員名簿:佐藤花子(営業部)、鈴木一郎(製造部)...」
  • 「役員の田中部長の住所は東京都〇〇区...」

個人情報保護法では、個人を特定できる情報の第三者提供には本人の同意が必要です。AIサービスへの入力は「第三者提供」に該当する可能性があるため、従業員の同意なく個人情報を入力することは法的リスクを伴います。

知的財産権侵害リスク|独自技術や特許情報の取り扱い

ものづくり補助金やIT導入補助金では、独自技術や特許情報を記載することがあります。しかし、これらの情報をAIに入力する際は細心の注意が必要です。

リスクが高い入力例:

  • 「弊社の特許技術『超高速データ圧縮アルゴリズム』の詳細は...」
  • 「開発中の新製品の設計図を添付します」
  • 「競合他社にない独自の製造プロセスは...」

これらの情報がAIの学習に使用されたり、サーバーに保存されたりすることで、知的財産権の侵害や技術流出のリスクがあります。特に、まだ特許出願していない技術情報は、公知となってしまうと特許が取得できなくなる可能性もあります。

第三者による不正アクセスとデータ漏洩の危険性

AIサービス自体のセキュリティが高くても、アカウントの管理が甘ければ意味がありません。以下のようなケースで、第三者による不正アクセスのリスクが高まります:

危険な使い方:

  • パスワードを「password123」のような簡単なものにしている
  • 二要素認証(2FA)を設定していない
  • 複数人で同じアカウントを共有している
  • カフェなどの公共Wi-Fiで機密情報を入力している

特に補助金申請の繁忙期には、セキュリティ意識が低下しがちです。「とりあえず早く終わらせたい」という気持ちから、普段なら気をつけることも忘れてしまうことがあります。

AIプロンプトインジェクションによる意図しない情報開示

これは比較的新しいタイプのリスクです。悪意のある第三者が、巧妙に作成されたプロンプト(指示文)を使って、AIから機密情報を引き出そうとする攻撃です。

たとえば、以下のような状況を想像してください:

  1. あなたが補助金申請の相談をAIとしている
  2. その会話履歴がなんらかの形で残っている
  3. 第三者が「以前の会話の内容を教えて」といった指示をAIに送る

適切なセキュリティ設定がされていない場合、AIが過去の会話内容を開示してしまう可能性があります。

APIトークンの管理不備による外部流出の可能性

企業でAI APIを利用する場合、APIトークン(アクセスキー)の管理は極めて重要です。しかし、以下のような管理ミスが頻繁に発生しています:

よくある失敗例:

  • APIトークンをソースコードに直接記載してGitHubにアップロード
  • メールやチャットでトークンを共有
  • 退職者のアクセス権限を削除し忘れる
  • トークンの定期的な更新を怠る

APIトークンが流出すると、第三者があなたの企業のアカウントでAIサービスを利用できてしまいます。これにより、過去の会話履歴へのアクセスや、なりすましによる情報収集が可能になってしまいます。

共有アカウント使用時の権限管理問題

中小企業では、コスト削減のために一つのAIアカウントを複数人で共有することがあります。しかし、これには大きなリスクが潜んでいます:

共有アカウントのリスク:

  • 誰がどの情報を入力したか追跡できない
  • 他の人が入力した機密情報を閲覧できてしまう
  • 退職者がアカウントにアクセスし続ける可能性
  • 責任の所在が不明確になる

たとえば、経理担当者が入力した財務情報を、本来アクセス権限のない営業担当者が見てしまうといった事態が発生する可能性があります。

補助金審査機関への提出時の二次的漏洩リスク

AIで作成した書類を補助金審査機関に提出する際にも、注意が必要です。以下のようなケースで、二次的な情報漏洩が発生する可能性があります:

注意すべきポイント:

  • AIとの会話履歴をそのまま添付してしまう
  • AIが生成した文章に他社の情報が混入している
  • メタデータに機密情報が含まれている
  • 提出先のセキュリティ体制が不十分

特に、PDFファイルのプロパティ情報や、Wordファイルの変更履歴に、意図しない情報が含まれていることがあります。提出前には必ず、これらのメタデータを確認・削除することが重要です。

AIが生成した虚偽情報による申請却下リスク

最後に、これは情報漏洩とは異なりますが、重要なリスクとして挙げておきます。AIは時として、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を生成することがあります。

実際に起こりうる問題:

  • 存在しない補助金制度を提案される
  • 補助率や上限額を間違えて記載してしまう
  • 申請要件を誤って解釈した内容を生成される
  • 架空の成功事例を引用してしまう

これらの誤情報をそのまま申請書に記載すると、虚偽申告として申請が却下されるだけでなく、今後の補助金申請に悪影響を及ぼす可能性があります。

以上、10個のリスクを詳しく見てきました。これらのリスクを認識した上で、次のセクションでは、各AIサービスのセキュリティ機能を比較し、どのように安全に活用できるかを探っていきましょう。

2025年最新|ChatGPT・Claude・Geminiのセキュリティ機能完全比較表

さて、リスクを理解したところで、実際に各AIサービスがどのようなセキュリティ対策を提供しているのか、詳しく見ていきましょう。2025年6月時点の最新情報をもとに、補助金申請で安全に使えるプランを見極めていきます。

ChatGPTの料金プラン別セキュリティ|Free/Plusは学習利用がデフォルトON

ChatGPTは最も普及しているAIサービスですが、プランによってセキュリティレベルが大きく異なります。特に注目すべきは、無料版とPlusプランでは「デフォルトで入力内容が学習に使われる」という点です[1]。

ChatGPTの各プラン比較:

Free(無料)プラン

  • 月額料金:無料
  • 学習利用:デフォルトでON(設定で変更可能だが機能制限あり)
  • データ保持:無期限(削除後30日)
  • セキュリティ認証:基本的な暗号化のみ
  • 補助金申請での推奨度:★☆☆☆☆(非推奨)

Plus(月額20ドル)プラン

  • 月額料金:約3,000円
  • 学習利用:デフォルトでON(設定で変更可能だが機能制限あり)
  • データ保持:無期限(削除後30日)
  • セキュリティ認証:基本的な暗号化のみ
  • 補助金申請での推奨度:★★☆☆☆(注意が必要)

Pro(月額200ドル)プラン

  • 月額料金:約30,000円
  • 学習利用:設定により制御可能
  • データ保持:設定により制御可能
  • 利用可能モデル:GPT-4.5 Preview等の最新モデル、Sora動画生成、Operator機能
  • 利用量:実質無制限
  • 補助金申請での推奨度:★★★☆☆(プロフェッショナル向け)

Team(月額30ドル/ユーザー、年払いの場合25ドル/ユーザー)プラン

  • 月額料金:月払い約4,500円/ユーザー、年払い約3,750円/ユーザー(最低2名から)
  • 学習利用:デフォルトでOFF
  • データ保持:30日固定(変更不可)
  • セキュリティ認証:SOC 2 Type 2認証取得
  • 管理機能:管理コンソール、MFA(多要素認証)対応
  • 補助金申請での推奨度:★★★★☆(推奨)

Enterprise(要見積)プラン

  • 月額料金:要問い合わせ
  • 学習利用:完全にOFF
  • データ保持:0〜30日で選択可能(Zero-Retention設定可)
  • セキュリティ認証:SOC 2 Type 2、GDPR/CCPA対応
  • 管理機能:SAML SSO、SCIM、データレジデンシー選択可
  • 補助金申請での推奨度:★★★★★(最も安全)

重要なのは、Teamプランからようやくビジネスレベルのセキュリティが提供されるという点です。個人で使うPlusプランでは、設定を変更しない限り、あなたの機密情報が学習データとして使われてしまいます。

ClaudeのデフォルトOFF設計|API利用なら全プランで学習除外

Anthropic社のClaudeは、プライバシー保護に対して独特のアプローチを取っています。最大の特徴は、「全プランでデフォルトで学習利用がOFF」という点です[2]。

Claudeの各プラン比較:

Free(無料)プラン

  • 月額料金:無料
  • 学習利用:デフォルトでOFF(明示的なフィードバック時のみ)
  • データ保持:削除まで保持(削除後30日以内に完全削除)
  • セキュリティ:基本的な暗号化、憲法的AI設計
  • 補助金申請での推奨度:★★★☆☆(学習利用はOFFだが、SOC 2認証対象外)

Pro(月額20ドル)プラン

  • 月額料金:約3,000円
  • 学習利用:デフォルトでOFF
  • データ保持:削除まで保持(削除後30日以内に完全削除)
  • セキュリティ:憲法的AI、暗号化強化
  • 補助金申請での推奨度:★★★☆☆(学習利用はOFFだが、SOC 2認証対象外)

Max(月額100ドル)プラン

  • 月額料金:約15,000円
  • 学習利用:デフォルトでOFF
  • データ保持:管理者が設定可能
  • 利用量:Proプランの5倍
  • 補助金申請での推奨度:★★★★☆(ヘビーユーザー向け)

Max(月額200ドル)プラン

  • 月額料金:約30,000円
  • 学習利用:デフォルトでOFF
  • データ保持:管理者が設定可能
  • 利用量:Proプランの20倍
  • 補助金申請での推奨度:★★★★☆(超ヘビーユーザー向け)

Team(月額30ドル/ユーザー)プラン

  • 月額料金:約4,500円/ユーザー(最低5名から)
  • 学習利用:デフォルトでOFF
  • データ保持:管理者が設定可能(30日未満も可)
  • セキュリティ:SOC 2 Type I準拠
  • 管理機能:チーム管理機能
  • 補助金申請での推奨度:★★★★☆(推奨)

Enterprise(要見積)プラン

  • 月額料金:要問い合わせ
  • 学習利用:完全にOFF(契約で保証)
  • データ保持:任意の日数で設定可能(30日未満も可)
  • セキュリティ:SOC 2 Type II取得済み
  • 管理機能:SAML SSO、カスタム保持期間
  • 補助金申請での推奨度:★★★★★(最も安全)

Claudeの特徴は「憲法的AI(Constitutional AI)」という設計思想です。これは、Anthropicが開発した明示的な倫理原則に基づいてAIが動作するよう設計されており、有害な出力を減らすための独自のアプローチです。この原則は継続的に改良され、2023年には一般からのフィードバックも取り入れています。

ただし、無料版とProプランではSOC 2認証の対象外となっている点に注意が必要です。コンプライアンス要件が厳しい企業の場合は、SOC 2認証を取得しているTeam版以上での利用を検討しましょう。なお、ポリシー違反の疑いがあるデータについては、最長2年間保持される可能性があります。

Gemini for Workspaceの統合セキュリティ|無償版は要注意

GoogleのGeminiは、2025年に大幅な料金体系の変更があり、Workspaceとの統合が進みました。2025年1月からは、Google WorkspaceのBusiness/Enterpriseプランに標準搭載されています[3]。

Geminiの各プラン比較:

無償版(gemini.google.com)

  • 月額料金:無料
  • 学習利用:デフォルトでON
  • データ保持:最大18ヶ月(3ヶ月または36ヶ月に変更可能)、レビューされた場合は最大3年間
  • セキュリティ:基本的なGoogle セキュリティ
  • 補助金申請での推奨度:★☆☆☆☆(非推奨)

Google AI Pro(月額2,900円)プラン

  • 月額料金:2,900円
  • 学習利用:設定による
  • 利用可能モデル:Gemini 2.5 Pro(最大100万トークン)
  • 追加機能:Veo2動画生成、Deep Research、NotebookLM制限緩和
  • 補助金申請での推奨度:★★★☆☆

Google AI Ultra(月額36,400円)プラン

  • 月額料金:36,400円(初回3か月は18,000円)
  • 学習利用:設定による
  • 利用可能モデル:Gemini 2.5 Pro(最大100万トークン)
  • 追加機能:Veo2動画生成、高度な機能への先行アクセス
  • 補助金申請での推奨度:★★★☆☆(大企業向け)

Workspace統合版(Business/Enterprise)

  • 月額料金:Workspaceプランに含まれる(追加料金なし)
  • 学習利用:デフォルトでOFF(Workspace条項で訓練禁止が契約保証)
  • データ保持:Google Vaultポリシーに準拠
  • セキュリティ:Workspace統合セキュリティ
  • 管理機能:Admin console、DLP(データ損失防止)
  • 利用制限:Businessプランは月1,000アクション
  • 補助金申請での推奨度:★★★★☆(回数制限に注意)

Enterprise(要見積)プラン

  • 月額料金:要問い合わせ
  • 学習利用:完全にOFF
  • データ保持:組織のポリシーで制御
  • セキュリティ:完全なWorkspace統合、ISO 27018、FedRAMP High対応
  • 管理機能:高度な管理・分析機能、データリージョン選択(日本リージョン対応)
  • 利用制限:無制限
  • 補助金申請での推奨度:★★★★★(最も安全)

Geminiの最大の特徴は、最大100万トークン(日本語で約70万文字)という巨大なコンテキストウィンドウです。これにより、大量の資料を一度に処理できますが、その分、セキュリティ管理も重要になります。

保持期間の決定的な違い|Claudeは最大2年、ChatGPTは30日

ここで、各サービスのデータ保持期間について詳しく比較してみましょう。これは見落としがちですが、コンプライアンス上極めて重要なポイントです。

データ保持期間の比較:

サービス プラン デフォルト保持期間 削除後の扱い カスタマイズ
ChatGPT Free/Plus 無期限(履歴ON時) 削除後30日で完全削除 不可
ChatGPT Team 無期限(履歴ON時) 削除後30日で完全削除 不可
ChatGPT Enterprise 0〜30日 即座〜30日で選択可 可能(Zero-Retention対応)
Claude Free/Pro 削除まで保持 削除後30日以内に完全削除 不可
Claude Team 管理者設定 設定に準拠 日単位で自由設定(30日未満も可)
Claude Enterprise 任意設定 契約に準拠 完全カスタマイズ
Gemini 無償版 18ヶ月(既定) レビュー済みは最大3年 3/18/36ヶ月から選択
Gemini Business以上 Vaultポリシー 組織設定に準拠 Workspace経由で可能

特に注意すべきは、ChatGPTの無料版・Plus版・Team版の「履歴を残す限り無期限保持」です。削除しない限り、あなたの会話履歴がずっと残り続けることを意味します。一方、Claudeは削除後30日以内に確実に削除される点で、より安心できる設計となっています。

SOC 2 Type 2認証とコンプライアンス対応状況一覧

最後に、各サービスの認証取得状況とコンプライアンス対応を一覧でまとめます。これは、補助金申請を行う企業が、監査や情報セキュリティポリシーに準拠するために重要な情報です。

セキュリティ認証・コンプライアンス対応状況:

ChatGPT:

  • SOC 2 Type 2:Team以上で対応
  • GDPR:全プランで法令遵守(Enterprise版は追加機能提供)
  • CCPA:全プランで法令遵守(Enterprise版は追加機能提供)
  • HIPAA BAA:Enterprise版で締結可能
  • ISO 27001:取得済み(Enterprise)
  • データレジデンシー:日本リージョン選択可(Enterprise)

Claude:

  • SOC 2 Type I:商用プラン(Team/Enterprise/API)で取得済み
  • SOC 2 Type II:商用プラン(Team/Enterprise/API)で取得済み
  • Free/Pro:SOC 2認証対象外
  • Privacy Criteria:追加認証取得
  • GDPR:標準対応
  • 憲法的AI:独自の安全性基準
  • ISO認証:一部取得済み
  • データレジデンシー:米国ベース(Enterprise で相談可)

Gemini:

  • ISO 27001:Google全体で取得
  • ISO 27018:クラウドプライバシー認証
  • SOC 2/3:Google Cloud準拠
  • FedRAMP High:政府機関レベル(Enterprise)
  • GDPR/CCPA:標準対応
  • データレジデンシー:日本リージョン対応

これらの認証は、単なる飾りではありません。実際に監査が入った際や、大手企業との取引で情報セキュリティチェックシートの提出を求められた際に、これらの認証の有無が契約の可否を左右することがあります。

まとめ:どのプランを選ぶべきか?

補助金申請でAIを安全に使うための最低ラインは、以下の通りです:

  1. 小規模事業者(1〜4名):ChatGPT Team または Claude Team
  2. 中規模企業(5名以上):各社のTeamプラン+運用ルールの整備
  3. 機密性の高い情報を扱う企業:各社のEnterpriseプラン一択
  4. コストを抑えたい場合:Claude API(全プランで学習OFF)

次のセクションでは、これらのサービスを使って、実際にどのように機密情報を守りながら補助金申請書を作成するか、具体的な手法を解説していきます。

機密情報を守りながら補助金申請書を作成する実践的手法

さて、各AIサービスのセキュリティ機能を理解したところで、実際にどのように活用すればよいのでしょうか。ここでは、私が実際に使っている、機密情報を守りながらAIを活用する具体的なテクニックをお伝えします。

正直なところ、最初は「面倒くさいな」と感じるかもしれません。でも、一度このやり方に慣れてしまえば、安心してAIを使えるようになりますし、結果的に作業効率も大幅にアップします。

財務データの段階的マスキング技術|具体例つき

財務データは補助金申請で必ず必要になりますが、そのまま入力するのは危険です。そこで、段階的にマスキング(隠蔽)する技術を使います。

ステップ1:具体的な数値を変数に置き換える

【元の文章】
弊社の2023年度売上高は3億2,156万円で、前年比115%の成長を達成しました。
営業利益は2,573万円(営業利益率8.0%)でした。

【マスキング後】
弊社の2023年度売上高は[売上A]円で、前年比[成長率B]%の成長を達成しました。
営業利益は[利益C]円(営業利益率[利益率D]%)でした。

【別途メモ】
売上A = 3億2,156万
成長率B = 115
利益C = 2,573万
利益率D = 8.0

ステップ2:比率や割合に変換する

実際の金額ではなく、比率で表現することで、具体的な規模を隠しながら論理的な説明を維持できます。

【さらに安全な表現】
弊社の売上構成は、主力製品が全体の60%、新規事業が25%、その他が15%です。
前年と比較して、主力製品は1.2倍、新規事業は1.5倍の成長を遂げました。

ステップ3:業界平均や一般的な数値に置き換える

【最も安全な表現】
弊社は製造業の中小企業として、業界平均を上回る成長率を維持しています。
収益性についても、経済産業省の統計による製造業平均(約5%)を上回る
水準を確保しています。

このように段階的にマスキングすることで、AIには文章の構造や論理展開を手伝ってもらいながら、具体的な機密情報は守ることができます。

個人情報を匿名化してからAIに投げる4ステップ

従業員情報や取引先情報を含む文章をAIで作成する際の、実践的な4ステップをご紹介します。

ステップ1:個人名を役職や記号に置換

【変換前】
プロジェクトリーダーの山田太郎(開発部)を中心に、
佐藤花子(営業部)、鈴木一郎(製造部)の3名で推進します。

【変換後】
プロジェクトリーダー(開発部)を中心に、
メンバーA(営業部)、メンバーB(製造部)の3名で推進します。

ステップ2:具体的な個人情報を一般化

【変換前】
弊社の技術顧問である東京大学の田中教授(工学博士)から
助言をいただいています。

【変換後】
弊社の技術顧問である国立大学の教授(工学博士)から
助言をいただいています。

ステップ3:組織構造を抽象化

【変換前】
従業員15名(正社員12名、パート3名)で、平均年齢38.5歳、
男女比は8:7です。

【変換後】
従業員10名以上20名未満の組織で、年齢構成はバランスが取れており、
男女比もほぼ均等です。

ステップ4:最終確認とダブルチェック

AIに投げる前に、以下のチェックリストで確認します:

  • [ ] 個人を特定できる名前は残っていないか
  • [ ] 具体的な住所や電話番号は削除したか
  • [ ] 年齢、性別などの属性情報は一般化したか
  • [ ] 役職名は汎用的なものに変更したか

汎用的な文章構造に変換する言い換えテクニック

補助金申請書には、企業独自の強みや特徴を記載する必要がありますが、これらをそのまま入力すると競争優位性が失われるリスクがあります。そこで、汎用的な表現に言い換えるテクニックを使います。

言い換えの例:

技術的な強み

【具体的すぎる表現】
弊社の特許技術「超高速データ圧縮アルゴリズムXYZ」により、
従来比300%の処理速度を実現

【汎用的な表現】
弊社の独自技術により、業界標準を大幅に上回る処理速度を実現

顧客情報

【具体的すぎる表現】
主要取引先のトヨタ自動車、ソニー、パナソニックなど
大手製造業10社と継続的な取引

【汎用的な表現】
国内大手製造業を中心に、10社以上との安定的な取引実績

地理的情報

【具体的すぎる表現】
東京都港区の本社工場(延床面積2,500㎡)で製造

【汎用的な表現】
首都圏の自社工場(一定規模以上)で製造

セクション別にAIを使い分ける安全な作業フロー

補助金申請書を丸ごとAIに投げるのではなく、セクション別に分けて、それぞれに適した方法でAIを活用する方法をお勧めします。

安全な作業フローの例:

1. 事業概要セクション(機密度:中)

  • 使用AI:Claude Team以上
  • 方法:汎用的な表現に変換してから入力
  • 確認事項:企業が特定される情報を削除

2. 財務計画セクション(機密度:高)

  • 使用AI:使用しない or Enterprise版のみ
  • 方法:数式や比率のみAIに相談
  • 確認事項:具体的な金額は絶対に入力しない

3. 実施体制セクション(機密度:高)

  • 使用AI:Claude API(学習OFF確実)
  • 方法:完全に匿名化してから入力
  • 確認事項:個人情報保護法遵守

4. 事業の必要性セクション(機密度:低)

  • 使用AI:どのプランでも可(ただしTeam以上推奨)
  • 方法:一般的な市場動向として記載
  • 確認事項:自社特有の情報は含めない

5. 期待される効果セクション(機密度:中)

  • 使用AI:ChatGPT Team or Claude Team
  • 方法:定性的な表現を中心に
  • 確認事項:定量的な目標値は後から手動で追加

このように、セクションごとに機密度を判断し、適切なAIとセキュリティレベルを選択することで、効率性と安全性を両立できます。

ここで重要なのは、「AIに丸投げしない」という意識です。AIはあくまでも文章作成の補助ツールであり、最終的な確認と調整は必ず人間が行う必要があります。

特に、以下の点は必ず人間がチェックしましょう:

  1. 事実関係の正確性
  2. 数値の整合性
  3. 法的要件への適合性
  4. 企業独自の情報の保護

次のセクションでは、これらの作業をさらに安全に行うための、専用ツールやサービスについて詳しく解説します。

補助金申請に特化した安全なAI活用サービス3選|プロが選ぶ2025年版

ここまで、一般的なAIサービスを安全に使う方法を解説してきましたが、「もっと安心して使えるサービスはないの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

実は、補助金申請に特化した、よりセキュアなAIサービスがいくつか存在します。これらは初期費用や月額費用が少し高めですが、その分、安全性と使いやすさは格段に向上します。

Azure OpenAI Service|オンプレミス並みのセキュリティ実現

Microsoft社が提供するAzure OpenAI Serviceは、ChatGPTと同じAIモデルを使いながら、エンタープライズレベルのセキュリティを実現できるサービスです[4]。

Azure OpenAI Serviceの特徴:

セキュリティ面の優位性:

  • データは完全にMicrosoft Azureの環境内で処理
  • 入力データは一切OpenAIのモデル改善に使用されない
  • VNet(仮想ネットワーク)による完全な分離が可能
  • プライベートエンドポイントでインターネットを経由しない通信

コンプライアンス対応:

  • ISO 27001、SOC 2、HIPAA、FedRAMP対応
  • 日本リージョンでのデータ保存が可能(ただしGPT-4oモデルは北米・北欧リージョンのみ)
  • 監査ログの完全な取得
  • GDPR、個人情報保護法に完全準拠

実装例:補助金申請支援システム

【システム構成】
1. Azure上に専用環境を構築
2. 社内ネットワークからのみアクセス可能に設定
3. AD(Active Directory)連携で個人認証
4. 入力データは暗号化して自社のストレージに保存
5. AIへの問い合わせログはすべて記録

料金の目安:

  • 初期構築費用:環境構築規模により変動(従量課金制)
  • API利用料:GPT-4系モデルで1,000トークンあたり約0.03ドル前後から
  • 月額費用:使用量に応じた従量課金制

正直、個人事業主や小規模企業には少しハードルが高いかもしれません。しかし、年間で複数の補助金申請を行う企業や、機密性の高い技術情報を扱う企業にとっては、十分に投資価値があるサービスです。

補助金申請特化型AIサービス|補助金Expressの活用

日本国内でも、補助金申請に特化したAIサービスが登場しています。特に注目なのが、株式会社2WINSが運営する「補助金Express」です[5]。

補助金Expressの特徴:

セキュリティとプライバシー:

  • 国内サーバーでのデータ管理
  • 金融機関レベルのセキュリティ基準
  • 入力データの学習利用は一切なし
  • SSL/TLS暗号化通信

補助金申請に特化した機能:

  • 最新の補助金情報を自動更新
  • 申請書類作成時間を90%削減
  • 小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金に対応
  • 審査基準に基づいた自動チェック機能

実際の活用メリット: 特に便利なのは「審査基準チェック機能」です。たとえば、「具体性が不足しています」「定量的な目標を追加してください」といった具体的なアドバイスがもらえるので、申請書の品質が格段に向上します。

利用時の注意点:

  • 完全に日本語対応だが、方言や専門用語には弱い場合がある
  • 最新の補助金情報は自動更新されるが、タイムラグがある可能性
  • テンプレートは便利だが、そのまま使うと他社と似通った内容になる可能性

自社専用AIチャットボット構築|究極のデータ保護方法

最も安全な方法は、自社専用のAIチャットボットを構築することです。初期投資は大きくなりますが、長期的に見れば最もコストパフォーマンスが高い選択肢かもしれません。

自社専用AI構築の選択肢:

1. オープンソースLLMの活用

  • Llama 2、Japanese Stable LM などを使用
  • 自社サーバーで完結(データが外部に出ない)
  • カスタマイズの自由度が高い
  • 技術者の確保が必要

2. プライベートクラウド型

  • AWS、Azure、GCPのプライベート環境に構築
  • セキュリティは自社でコントロール
  • スケーラビリティが高い
  • 運用コストは中程度

3. オンプレミス型

  • 完全に自社内で完結
  • 最高レベルのセキュリティ
  • 初期投資が大きい(数百万円〜)
  • 保守運用体制が必要

実装のポイント: 私の知人の中小企業(従業員50名)では、以下のような構成で自社AIを構築しました:

【システム構成】
- ベースモデル:Llama 2 Japanese(オープンソース)
- インフラ:自社サーバー(GPU搭載)
- 開発期間:3か月
- 開発費用:約500万円
- 運用コスト:月額5万円(電気代、保守含む)

【セキュリティ対策】
- 社内ネットワークのみでアクセス可能
- すべての入出力ログを保存
- 定期的なセキュリティ監査
- データの外部送信は技術的に不可能

導入から1年が経過しましたが、「安心して使える」「カスタマイズできるのが良い」と好評だそうです。特に、自社の過去の補助金申請書を学習させることで、企業独自のノウハウを活かした申請書作成が可能になったとのことです。

どのサービスを選ぶべきか?

それぞれのサービスには一長一短があります。選択の目安として、以下のような基準で考えてみてください:

  1. セキュリティ最優先 → Azure OpenAI Service
  2. 使いやすさ重視 → 補助金Express等の国内サービス
  3. 長期的な投資 → 自社専用AI構築
  4. コスト重視 → 既存AIサービスのTeamプラン+運用ルール

重要なのは、「完璧なセキュリティ」を求めすぎて、AIの活用自体を諦めてしまわないことです。自社の規模、予算、セキュリティ要件に応じて、最適なバランスを見つけることが大切です。

要注意!申請書作成時に絶対アップロードしてはいけないデータ一覧

さて、ここまでAIを安全に使う方法を解説してきましたが、「これだけは絶対にアップロードしてはいけない」というデータがあります。

私も最初は「大丈夫だろう」と軽い気持ちでアップロードしそうになったことがありますが、専門家に相談して「それは絶対にダメ!」と止められた経験があります。ここでは、そんな危険なデータと、その理由を具体的に解説します。

決算書・財務諸表をそのまま入力する致命的リスク

補助金申請では必ず財務情報が必要になりますが、決算書や財務諸表をそのままAIにアップロードするのは、極めて危険です。

なぜ危険なのか:

  1. 競合他社への情報流出リスク
    • 売上高、利益率、原価率などの詳細な財務情報が漏れる
    • 競合他社が価格戦略を立てる際の参考にされる可能性
    • M&Aや事業提携の交渉で不利になる
  2. 信用情報への影響
    • 財務状況が外部に漏れることで、取引先からの信用が低下
    • 銀行融資の条件が悪化する可能性
    • 株価(上場企業の場合)への影響
  3. インサイダー取引のリスク
    • 未公開の財務情報が漏れた場合、法的責任を問われる可能性

実際にあった事例: ある製造業の企業が、補助金申請のためにAIに決算書をアップロードしたところ、数か月後、競合他社が極めて近い価格設定で新製品を投入してきたという話を聞いたことがあります。因果関係は証明できませんが、偶然にしては出来すぎた話です。

安全な代替方法:

【NG例】
2023年度決算書.pdfをアップロード

【OK例】
「売上高は前年比約110%成長」
「営業利益率は製造業平均を上回る水準」
「自己資本比率は健全な水準を維持」

従業員名簿・給与データを含む人件費計算書の危険性

補助金申請では人件費の計算が必要な場合が多いですが、従業員の個人情報を含むデータは特に慎重に扱う必要があります。

法的リスク:

  1. 個人情報保護法違反
    • 最大1億円の罰金(法人の場合)
    • 個人情報保護委員会からの行政指導
    • 社会的信用の失墜
  2. 労働法違反
    • 従業員のプライバシー権侵害
    • 労使間の信頼関係崩壊
    • 労働紛争のリスク
  3. 民事訴訟リスク
    • 従業員からの損害賠償請求
    • 精神的苦痛に対する慰謝料請求

特に危険なデータの例:

【絶対NGなデータ】
- 従業員名簿.xlsx(氏名、住所、生年月日含む)
- 給与台帳.pdf(個人別給与明細)
- 社会保険料計算書(マイナンバー含む)
- 健康診断結果一覧
- 人事評価シート

安全な人件費の示し方:

【安全な表現例】
「技術者5名の人件費:月額250万円」
「プロジェクト人件費総額:1,500万円(6か月)」
「平均人件費単価:時給3,500円」

見積書・契約書に含まれる取引先情報の流出防止策

見積書や契約書には、取引先の重要な情報が含まれています。これらをAIにアップロードすると、取引先との信頼関係を損なう重大な事態につながりかねません。

取引先情報の漏洩がもたらすリスク:

  1. 契約違反
    • 秘密保持契約(NDA)違反で損害賠償請求
    • 取引停止処分
    • 業界内での信用失墜
  2. ビジネス機会の喪失
    • 新規取引の拒否
    • 既存取引の縮小
    • 競合他社への乗り換え
  3. 連鎖的な情報漏洩
    • 取引先の取引先まで影響が及ぶ
    • サプライチェーン全体の信頼崩壊

見積書・契約書の安全な扱い方:

【処理前の見積書】
株式会社ABC商事
見積金額:1,234,567円
 部品A(型番:XYZ-123):500,000円
 部品B(型番:DEF-456):400,000円
 技術指導料:334,567円

【処理後の安全な表現】
取引先A社
見積金額:約120万円
 部品費:約90万円
 技術指導料:約30万円

特許申請書類・研究開発データの機密管理方法

研究開発型の補助金では、技術的な説明が必要になりますが、特許申請書類や研究データは企業の生命線です。これらの扱いには最大限の注意が必要です。

技術情報漏洩の深刻な影響:

  1. 知的財産権の喪失
    • 特許取得が不可能になる(新規性の喪失)
    • 他社による先行出願のリスク
    • 技術優位性の消失
  2. 研究開発投資の無駄
    • 数年間の研究開発が水の泡
    • 投資回収が不可能に
    • 研究者のモチベーション低下
  3. 国際競争力の低下
    • 海外競合への技術流出
    • 輸出管理法違反の可能性
    • 国家安全保障上の問題

安全な技術情報の記載方法:

【危険な記載】
「当社の特許技術(特願2023-123456)である
『ナノ粒子を使用した高効率触媒』の詳細構造は...」

【安全な記載】
「当社の特許出願中技術により、
従来比で大幅な効率向上を実現」

研究開発データの取り扱い: 私が推奨する方法は、「3段階セキュリティ」です:

  1. コア技術:絶対にAIに入力しない
  2. 周辺技術:一般化して入力
  3. 公開情報:そのまま入力可

事業計画の核心部分を守る具体的テクニック

最後に、事業計画の核心部分を守りながら、説得力のある申請書を作成するテクニックをお伝えします。

事業計画で特に守るべき情報:

  1. 新製品・新サービスの詳細
    • 発売時期
    • 価格戦略
    • ターゲット顧客
    • 差別化ポイント
  2. マーケティング戦略
    • 広告予算
    • プロモーション計画
    • 提携先候補
  3. 成長戦略
    • M&A計画
    • 新規出店計画
    • 海外展開構想

核心情報を守る記載テクニック:

「ぼかし」のテクニック:

【具体的すぎる】
2025年10月に新製品Xを198,000円で発売予定

【適切なぼかし】
2025年度下期に新製品を市場投入予定
価格帯は競合製品と同等レベルを想定

「一般化」のテクニック:

【具体的すぎる】
Amazon、楽天、Yahooショッピングで独占販売契約締結予定

【適切な一般化】
大手ECプラットフォーム複数社との提携を計画

「分散」のテクニック: 重要な情報を一か所に集中させず、申請書全体に分散させることで、全体像を把握しにくくします。

ここまで、絶対にアップロードしてはいけないデータについて詳しく解説してきました。これらの情報を守ることは、単にルールを守るということではなく、企業の持続的な成長と競争力を維持するために不可欠なことです。

「面倒だな」と感じるかもしれませんが、一度情報が漏れてしまったら取り返しがつきません。少しの手間を惜しまず、確実に情報を守っていきましょう。

2025年以降の展望|補助金申請×AI×セキュリティの未来

最後に、これからの補助金申請とAI活用がどのように進化していくのか、そして私たちはどのように準備すべきなのかを考えてみましょう。

技術の進化は本当に速く、1年前には想像もできなかったことが現実になっています。でも、だからこそ、基本的な考え方と将来への備えが重要になってくるのです。

政府・自治体のAI活用ガイドライン最新動向

2024年から2025年にかけて、政府や自治体のAI活用に関する動きが活発化しています。これらの動向を理解しておくことで、将来的な規制や支援策に備えることができます。

経済産業省・総務省の動き:

2024年4月19日に経済産業省・総務省が「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を発表しました[6]。このガイドラインは、AI開発者・提供者・利用者の責務を規定した内容となっており、生成AIの普及を受けて既存のガイドラインを統合・アップデートしたものです。

主な内容:

  1. AI開発者・提供者・利用者の責務
    • リスクベースアプローチの採用
    • 継続的な改善の重要性
    • ステークホルダーとの対話
  2. セキュリティ基準の明確化
    • データガバナンスの重要性
    • プライバシー保護の具体的措置
    • インシデント対応体制の構築
  3. 透明性と説明責任
    • AIシステムの動作原理の説明
    • 利用者への適切な情報提供
    • 監査・検証の仕組み

地方自治体の取り組み: 各自治体でも独自のAI活用支援策が始まっています:

  • AI導入費用の補助制度
  • セキュリティ診断の支援
  • AI活用人材育成プログラムの提供

これらの動きから読み取れるのは、「AIを安全に使うことが前提」の時代になりつつあるということです。同時に、セキュリティへの意識も高まっており、適切な対策を取ることが補助金採択の条件になる可能性も出てきています。

Zero-Retention設定など新セキュリティ技術の実装状況

技術面では、よりプライバシーに配慮した新しいセキュリティ機能が続々と実装されています。

Zero-Retention(ゼロ保持)設定: ChatGPT Enterpriseで既に実装されているこの機能は、入力データを一切保持しない究極のプライバシー保護機能です[1]。

【従来の設定】
入力データ → 30日間保持 → 削除

【Zero-Retention設定】
入力データ → 処理 → 即座に削除(保持期間0秒)

この機能により、万が一システムに侵入されても、過去のデータが流出するリスクがなくなります。2025年中には、他のAIサービスでも同様の機能が実装される見込みです。

連合学習(Federated Learning)の実用化: これは、データを中央サーバーに送ることなく、AIモデルを学習させる技術です:

  1. AIモデルが各企業の端末に配布される
  2. 各企業のデータで個別に学習
  3. 学習結果(データではない)のみを集約
  4. 全体のモデルが改善される

この技術により、機密データを外部に出すことなく、AIの性能向上に貢献できるようになります。

準同型暗号の実装: 暗号化したままデータを処理できる技術も実用化が進んでいます:

【従来の処理】
暗号化データ → 復号 → AI処理 → 暗号化

【準同型暗号】
暗号化データ → そのままAI処理 → 暗号化結果

これにより、AIサービス提供者ですら、実際のデータ内容を見ることができなくなります。

補助金申請業務のDX化とAIセキュリティ標準の確立

最後に、補助金申請業務全体のデジタル化と、それに伴うセキュリティ標準の確立について展望します。

補助金申請のフルデジタル化: 今後、主要な補助金の申請プロセスが完全デジタル化される見込みです:

  1. 電子申請の標準化
    • すべての書類がデジタルで提出可能に
    • 紙の書類は原則廃止
    • 電子署名による本人確認
  2. AI審査の部分導入
    • 形式審査はAIが実施
    • 不備の自動チェック
    • 採択可能性のスコアリング
  3. リアルタイムサポート
    • AIチャットボットによる24時間相談
    • 申請書の自動チェック機能
    • 過去の採択事例のAI分析

業界標準セキュリティ認証の創設: 「補助金申請AI認証制度」のような業界標準が作られる可能性があります:

  • レベル1:基本的なセキュリティ対策
  • レベル2:企業向けセキュリティ対策
  • レベル3:機密情報取扱可能レベル

この認証を取得したAIサービスのみが、補助金申請での利用を推奨されるようになるかもしれません。

AIとの共存時代への備え: これからの時代、AIを使わないという選択肢は現実的ではなくなってきています。重要なのは、「いかに安全に、効果的に使うか」です。

そのために、今から準備しておくべきことは:

  1. 継続的な学習
    • 最新のセキュリティ情報をキャッチアップ
    • AIツールの進化を追いかける
    • 業界の動向を注視
  2. 社内体制の整備
    • AI利用ガイドラインの策定
    • セキュリティ研修の実施
    • インシデント対応体制の構築
  3. 段階的な導入
    • まずは低リスクな業務から
    • 成功体験を積み重ねる
    • 徐々に活用範囲を拡大

私たちは今、大きな転換期にいます。AIという強力なツールを手に入れた一方で、それを安全に使いこなす責任も負っています。でも、恐れる必要はありません。適切な知識と対策があれば、AIは必ず私たちの強い味方になってくれるはずです。

まとめ

長い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。ここまでの内容を簡潔にまとめてみましょう。

この記事では、補助金申請でAIを安全に活用する方法について包括的に解説しました。重要なポイントを振り返ります:

  • 補助金申請でのAI活用には10種類の情報漏洩リスクが存在するが、適切な対策で安全に利用可能
  • 無料版は学習利用リスクが高く、最低でもTeam版、理想的にはEnterprise版の利用を推奨
  • ChatGPT Free/Plusは学習利用がデフォルトON、ClaudeはデフォルトOFF、Gemini無償版は学習利用ON
  • 機密情報のマスキングと段階的活用が安全性の鍵
  • Azure OpenAI Service、補助金Express、自社専用AIなど、セキュアな選択肢が存在
  • 決算書や従業員情報など、特定のデータは絶対にアップロードを避けるべき
  • 今後は政府ガイドラインに沿った活用が標準化される見込み

補助金申請は、多くの中小企業にとって重要な資金調達手段です。AIを活用することで、申請書の質を高め、採択率を向上させることができます。しかし、そのためには適切なセキュリティ対策が不可欠です。

最後に、私からのメッセージです。

AIは道具です。包丁と同じように、使い方次第で便利にも危険にもなります。大切なのは、その特性を理解し、適切に使いこなすことです。

この記事で紹介した方法は、すべて実践可能なものばかりです。完璧を求めすぎず、できることから始めてみてください。小さな一歩が、大きな成果につながります。

補助金申請という重要な業務において、AIを安全に活用し、事業の成長につなげていただければ幸いです。

もし、さらに詳しい情報が必要な場合は、専門家への相談もご検討ください。一人で悩まず、適切なサポートを受けながら、着実に前進していきましょう。

皆さんの補助金申請が成功することを、心から願っています。

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参考文献

[1] OpenAI公式セキュリティポリシー https://openai.com/security-and-privacy/ [2] Anthropic Privacy Center https://privacy.anthropic.com/
[3] Google Workspace セキュリティ https://workspace.google.com/security/
[4] Microsoft Azure OpenAI Service ドキュメント https://docs.microsoft.com/azure/cognitive-services/openai/
[5] 補助金Express 公式サイト https://www.hojokin.ai/
[6] 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」(2024年4月19日)

この記事は2025年6月時点の情報に基づいています。AIサービスは頻繁にアップデートされるため、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

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